今夜は荒川沿いを走る電車に乗っている


車両のドアが開くたび
湿気を帯びた風が香って
春の記憶を呼び覚ます

みぞおちが締め付けられるような
この切ない感覚は
わたしのインスピレーションの源だ

それはひとりで暮らしていた頃の記憶
それは呼吸が止まるような恐怖と寂しさ
それは神々しい夕暮れ
それは雨上がりの緑

すべてが瑞々しく
儚く刹那的で 美しかった


・・・曲ができるときは
大抵ひとりでいるときだ

こうして何か書きたくなるのも
ひとりのとき

なぜなのだろうとずっと考えていたが
やっと言語に落ちた

それは良い意味で
"客観を失っている"からだ

ひとりでいるとき
わたしは自分の世界にどっぷりと浸かっており
自分宇宙100%に近い状態になっている
 
その状態に入ると
閃きが走る


ある時そんな"客観を失っている自分"に
醜いナルシシズムを感じ
否定をしてしまったことがあった
すると それ以来曲が降りて来なくなってしまった

しくじった  と後から思った


自分の中にぐーっと入り込んでゆく感覚
自分の中にひたすら浸り込む時間

これは大層尊くて
極めて重要なものだ

なぜならそこに
創造の源泉があるから


わたしは酷く寂しがりで
許す限り誰かと一緒に居たいと思ってしまうのだが

今年はひとり自分のなかに入り込む時間を
大事にしようと思う

表現の核にある自分と
繋がるために